聖マリアンナ医科大学

〒241-0811 横浜市旭区矢指町1197-1

電話045-366-1111(代表)

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小児外科

診療科の紹介(特色)

新生児から15歳以下までの小児の外科疾患が対象です(小児期からの疾患が継続する場合は15歳以上になっても診療を行います)。新生児外科疾患においては周産期センターとの連携により、母体搬送・産院からの新生児搬送が可能です。乳児・学童においても救急対応が可能で小児病棟において小児科医との連携のもとに集学的治療が行われます。また、川崎市にあります聖マリアンナ医科大学病院小児外科と、週に一度の合同カンファレンスを行い重症疾患や気管手術・腹腔鏡手術などの先端医療にも対応しています。
私たちは「生命の尊厳を重んじ、常に病める人の声に耳を傾け、癒すこと」という理念に基づき、小児外科の先進的な治療を行えるよう力を注ぐとともに、日常的疾患の治療についても横浜市西部地区を中心とした地域医療の主体となるべく積極的に治療に取り組んでいます。

スタッフ紹介

スタッフ紹介は聖マリアンナ医科大学のスタッフ紹介をご覧ください。


過去5年間の外来数、入院患者数、手術件数

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取り扱い症例

新生児

・食道閉鎖症
・胃食道逆流症(GER)
・胃破裂
・肥厚性幽門狭窄症
・腸閉鎖症
・腸回転異常症
・鎖肛
・横隔膜ヘルニア
・血管腫
・臍帯ヘルニア
・腹壁破裂
・リンパ管腫
・気道疾患
・ヒルシュスプルング病   など

乳幼児

・鼠径ヘルニア
・陰嚢水腫
・停留睾丸
・臍ヘルニア
・腸重積症
・メッケル憩室
・漏斗胸
・胆道閉鎖症
・胆道拡張症
・裂肛
・乳児痔瘻(肛門周囲膿瘍)
・直腸肛門ポリープ
・正中頚嚢胞
・側頚嚢胞    など

学童

・急性虫垂炎
・消化性潰瘍
・潰瘍性大腸炎
・クローン病     など

治療法について

小児鼡径ヘルニアの手術~ 腹腔鏡下ヘルニア手術(LPEC法)~

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当院では従来の小児鼠径ヘルニアの手術は、鼠径部の小さな切開で行っていました(図1)。1997年、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(LPEC法:Laparoscopic Percutaneous Extraperitonial Closue)が発表され、現在はLPEC法を標準術式とする施設も多くなっています。LPEC法の利点は、①従来法で10%弱に存在する対側ヘルニアの確認と治療が同時にできる、②従来法と比べ手術手技が簡便である、③手術の傷が小さいこと、などのメリットがあります。保険適応となったので、2011年から当院でもこの手術を導入し、年間約100人のお子様に実施しています。
図1.これまで行っていた手術の傷です。

〔手術手技〕
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① おへその中央に、手術に使うカメラと器具の2カ所とヘルニアのある鼠径部に針を刺すだけです(図2)。
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② ヘルニアの穴の閉鎖:腹腔鏡でヘルニアの穴の確認を行います。症状のない反対側にもヘルニアの穴があった場合は両側ともに閉鎖します。これがLPEC法の利点の一つです。ヘルニアの穴の閉鎖に用いる針に糸を2本付けて、ヘルニアの穴の周囲に糸を回し二重に結紮して穴を閉じます(図3)。
図3.ヘルニアの穴の周りに糸を回したところです。

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③ 臍の傷は、吸収糸で縫合して閉鎖します。針の刺入部はボンドで固定したら手術は終了です(図4)。

④手術時間は、片側20分、両側30分程度です。全身麻酔で手術行いますが、麻酔をかけたり、起こしたりする時間を含めて1時間程度でお部屋に戻ってきます。

おわりに:従来法とは術式の概念の全く異なるLPEC法は、術中操作は解剖学的にきわめて分かり易く、手技は容易であると言え、術創部が目立たないことが特徴です
図4.手術終了時の傷の状態です。ボンドで傷は覆っています。退院翌日からシャワーを浴びることができます。

漏斗胸の治療について(保存的治療のバキュームベル含む)

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当院の治療の特徴は、手術だけでなくバキュームベルという吸引器を使った保存的治療を行っていることです。年々患者さまは増えており、ほぼ100人に達したので、患者さまの内訳を呈示することに致しました。多くの患者さまの参考になれば幸いです。
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図1は、当院に来られて、治療できる年齢に入った4歳以上の漏斗胸患者の年齢と性別で、4〜40歳(平均12.6歳)、男71人、女26人でした。

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図2が来院した理由です。半数が美容的に気になって来られました。
図3はどんな治療を選択したのか?です。半数の方々は無治療で、1/3はバキュームベル(吸引器)、1/6が手術を選択していました。

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残念なことにバキュームベルは、保険適応外診療なので自費診療となっています(輸入会社から約10万円で購入して頂いています)。そのため、バキュームを試したいんだけど、「10万円はちょっと、、、」という理由で、断念したり、手術を選択している方々が少なからずいらっしゃいました。
ここからは、バキュームをしている(していた)患者さまの結果と経過を説明します。2008年か6年間でバキュームベル治療を選択した患者さまは30人でした。

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図4.治療前後の凹み               図5.治療前後の画像の変化

図4)とCTで測定する方法(図5)の二つを行っています。図4は、バキュームベル(V)後には、ほとんどの方に効果があったことを示しています。しかし、図5では、骨・軟骨の形はほとんど変わっていなかったことを示しています。では、なぜ、凹みはよくなったのか?これはCTをよく見るとわかります。

 図6の上の写真のように、バキュームベル後の見た目はとてもよくなっています。図6下はCT画像です。黄色のラインが皮膚です。黄色のラインの下の黒いスペースは脂肪がいるところです。つまり、骨が上がって見た目がよくなったのではなく、皮下脂肪が厚くなったために見た目が改善したのです。
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図6A.バキュームベル前      図6B.バキュームベル後

しかし、我々はこれをネガティブな結果とは思っていません。図7に患者さまと医師の満足度調査の結果をお見せしましょう。青が患者さま、赤が医師の満足度です。不満であった患者さまはわずか1名で、この患者さまは手術が行われました。
現在の患者さまの状況を図8に示しました。形態に満足し再発なく過ごしている2名はバキュームベルを終了しています。13名は現在も治療続行していますが、続けていないと再発するからですし、もっと良くしたいと願っているからです。実は、来なくなってしまった人が10人います。なぜ来なくなってしまったのかは不明です。
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図7.満足度調査

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図8.現在の状況
以上が、当院で行っている漏斗胸治療の現状で、バキュームベル(保存的治療)の結果を中心にお話しました。漏斗胸の多くは、内臓に異常はきたしませんので、美容の問題で治療に悩まれます。もちろん、Nuss手術も行っていますので、漏斗胸で治療に悩まれているご家族もしくは患者さまは、気軽に相談にいらして下さい。

乳児血管腫(いちご状血管腫)

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①通常、1歳までは増大傾向があり、5〜6歳までは大きさは変わらず、以降自然に消退します
②一般的には治療はされず経過観察することが多い。
臓器障害(呼吸、肝臓、視力、関節など)、出血など併発した場合や美容上の問題で家族の希望がある場合、ステロイド、レーザー治療などが行われます。

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2008年にフランスから、βブロッカー治療がレポートされました(インターネットで閲覧できます:Propranolol for Severe Hemangiomas of Infancy. N Engl J Med 2008; 358:2649-2651)。βブロッカーは、本来、高血圧、狭心症、不整脈など心臓に対するお薬です。以降、400件を越える論文が発表され、従来の治療にすべての面で優ると結論付けられています。ステロイドと比べるとその効果だけでなく、副作用も極めて少ないことも特徴の一つです。

費用 効果(%) 使用開始 副作用
ステロイド 保険適応 30〜80 1968年〜 長期投与で
インターフェロン 高価(適応外) 不明 1989年〜 永続的
βブロッカー 安価(適応外) 80〜90 2008年〜 少ない

表1.これまでのお薬の治療の比較

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当院でも、2011年からβブロッカー治療を導入しました。医療者側もびっくりするほどの効果があります。前述したように、βブロッカーは心臓のお薬です。これまでは入院をして、治療開始前後で副作用の確認をしてきましたが、安全性が確認できたので今後は外来での治療を進めます。
治療薬の投与を開始するタイミングは、血管腫の増大期(乳児期)から始められることが理想と考えていますが、1歳を越えた児に対しても、その有効性は報告されています。治療薬の投与期間は、血管腫が増大する1歳まで投薬しています。1歳以降に治療開始した場合は、6ヶ月間を目安にしています。主な副作用は、低血圧、低血糖、喘息、心拍数の低下、不整脈、興奮などです。投薬終了後に、血管腫が再び大きくなることがあります。しかし、βブロッカーの再投与で、治療効果が確認されています
当院での成績は(平成27年7月現在、25人に投与して副作用は2人(蕁麻疹、喘息)。効果は、23人で確認されました。治療終了後に再び赤くなってきた症例は4人ですが、再投与で薄くなりました。以下に示す写真はご家族の了解を得て掲載しています。
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図1.治療開始前(生後3ケ月)  図2.治療後6ケ月(生後9ケ月) 図3.治療終了2ケ月(1歳4ケ月)

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図4.治療開始前(生後7ケ月)    図5.治療後3ケ月(生後10ケ月)    図6.治療終了(1歳5ケ月)

なお、当院皮膚科では、血管腫に対するレーザー治療(V-beam)を行っています。βブロッカーだけで、完全に消失する訳ではないので、可能な範囲でコンビネーション治療βブロッカー内服+レーザー治療)をすすめております。治療方法でお悩みのご家族がいらしたら、気軽にご相談ください。

リンパ管腫の治療について

1.リンパ管腫とは
リンパ液の溜まった大小の袋「のう胞」からなる良性の腫瘍です。頬や首,脇の下などによくできます。 全身をめぐるリンパ液の通り道であるリンパ管の先天的な形成異常とも考えられています。 良性ですので転移などすることはありませんが、内部に感染や出血などをきたすと急激に大きくなることが多く、場所によっては緊急処置が必要になることがあります。この病気に男女差はなく、遺伝性もほとんどないといわれています。

2.症状
体の表面にこぶのようなふくらみができていることにご本人もしくはご家族の方が気づき、受診されます。
痛みはないことがほとんどですが、感染や出血が併発している際はしこり自体に赤みがあったり、触ったりこすれたりした時に
痛みを伴うことがあります。

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3.診断
診察させていただいた時にその性状や発生部位などによってリンパ管腫かもしれないと疑われ、超音波検査やCT、MRIなどの画像検査が行われます。これら画像検査でリンパ管腫と診断がなされることが多いのですが、その内容液がリンパ液かどうかを調べるために針を刺して液を吸引し、のう胞中の細胞や成分を顕微鏡や器械で検査することもあります(穿刺液細胞診、穿刺液生化学検査など)。内容がリンパ液であれば診断の補助になります。

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超音波検査画像                     CT検査画像

4.治療
一般的な治療~OK432局注療法
以前は手術で取り除くことが治療の原則でしたが、腫瘍が筋肉の中や,大事な神経・血管のすきまに入り込んでいるときにはすべてを取り除くことは困難で、無理をすると大事な神経や血管が傷つくこともあります。
このため、抗悪性腫瘍薬であるOK432と いう特殊な薬をリンパ管腫の中に注入し小さくする方法がよく行われています。いわゆる抗がん剤ですが、全身投与ではないため吐き気や脱毛などの一般の方が 抗がん剤にもたれるイメージのような副作用はありません。薬の注入後に一時的に熱が出たり、腫れがひどくなることがあるため、一週間ほどご入院いただいての治療となります。一度注入するとその後2か月ほどかけて次第に腫瘍は縮小していき、初回注入から3か月ほど時間をおいて、完全に縮小するまで何回も繰り返して治療を行います。こうして腫瘍内ののう胞を一つ一つ潰していきます。
ただし、腫瘍の場所と大きさによっては最終的に手術が必要になることがあります。また治療経過中に感染や出血を起こした際は抗生物質による治療が必要となりますが、炎症の程度によってはご入院いただいての抗生物質治療が必要となることもあります。

当院の特色~漢方薬治療 越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)
当院では上記の治療に加え、近年注目されている漢方薬治療を積極的に取り入れております。
越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)という漢方薬を飲むとリンパ管腫の袋の中のリンパ液が減少し、目立たなくなります(写真参照)。服用開始から約1か月で効果が出始め、服用期間は患者さまの状態にもよりますが平均8か月です。この治療では漢方薬をご自宅でお飲みいただきますので、外来通院のみで治療が行われ、ご入院の必要はありません。このお薬をお飲みいただくことで腫瘍が小さくなり、OK432や 手術といった比較的侵襲の強い治療を回避できる可能性があります。また、生薬を主成分とする漢方なので副作用などはほとんどありません。このため当院では 袋の成分の多いリンパ管腫に対しては、治療の第一選択としてお飲みいただいており、ほぼ全例で腫瘍の縮小を認めております。

治療法の比較
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越婢加朮湯 内服前後比較

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外観(内服前)                   (内服後)

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超音波検査(内服前)                 (内服後)

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CT検査(内服前)          (内服後)

施設認定

・日本小児外科学会認定施設教育関連施設

外来受診について

火曜日午前、水曜日午後(新生児疾患外来を中心に)、木曜日午前、第2・4・5土曜日午前と外来を行っています。
初診の方は、紹介状が無くても受診できますが、かかりつけの先生からの紹介状を持参していただく方が診療を円滑に行えます。
予約外の方も常時受け付けており、緊急の場合は外来日以外(時間外)でも適時受け付けております。電話でお問い合わせください。

もっと詳しい内容は、下記の「こどもセンター」をご覧ください。

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